2019年2月19日、神戸市は市自らが運営するPHR(Personal Health Record)システム「MY CONDITION KOBE」を4月より開始すると発表した。まずは市が管理する国民健康保険加入者からデータ活用の賛同者を募り、スマートフォン向けアプリによる個別指導も行う。将来的には研究機関向けにデータを匿名化した上で提供、市民の健康維持や改善につながる施策にも生かす。
対象は国民健康保険加入者から開始
神戸市と「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム(中核機関:国立研究開発法人理化学研究所)」は、PHRの開発に関する事業についての協定を締結し、システムの共同開発を行ってきた。今後、健康データに基づいた健康増進のしくみに関する共同研究などを進める一環として、「MY CONDITION KOBE」の運用を開始する。
「MY CONDITION KOBE」は、専用のスマートフォン向けアプリとして「カラダかわるNavi(開発:リンクアンドコミュニケーション)」を、この事業向けにカスタマイズしたものを採用。アプリを通じて情報利用に同意、登録した市民が活用できる。平成31年度は、神戸市がデータを管理する国民健康保険加入者らを対象とする。今年度の対象となる利用者は、専用アプリに自ら歩数や食事内容を入力したり、市が管理する自分の各種健診データをまとめることができ、それらのデータに基づいた食事や運動のアドバイスを受けることができる。また利用者個人が全体の平均とどれだけ離れているかの偏差を見ることも可能にする予定だ。さらに、日々の情報や健康診断を受けるなどの活動に応じてポイントを付与するインセンティブも導入した。
市では、まずは2万人を目標に利用者を募集。市民の健康に関するデータの電子化を進めた上で、将来的には匿名化し研究機関に提供することも予定している注1。
※神戸市保健福祉局健康部健康政策課によると、提供スキームはいわゆる次世代医療基盤法に基づき認定事業者に提供するというものではなく、市の倫理審査委員会に諮った上で個別に提供することを想定しているとのこと。