窪田製薬子会社の遠隔眼科医療モニタリングデバイス 、臨床試験の評価項目を達成

Acucela Inc.が開発中の超小型OCTのイメージ(窪田製薬のウェブサイトより)

2018年10月29日、窪田製薬ホールディングスは、米国子会社アキュセラ・インクが開発中の遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS」の試作機による臨床試験が完了、評価項目を達成したと発表した。今後は量産機開発を開始し製品化を目指す。 

網膜の厚みとその変化の計測性能を評価、良好に達成

臨床試験が完了したのは、窪田製薬ホールディングスの100%子会社であるAcucela Inc.(アキュセラ・インク)が開発中の、自宅で網膜の状態を測定できる超小型デバイス「PBOS」。

臨床試験は米国内の1施設において、12人の健常者と20人のウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの網膜疾患の患者を対象に、PBOSで網膜の状態を測定し、その精度と解像度を評価した。具体的には健常者と黄斑に浮腫がある網膜疾患患者を対象に、網膜の「厚みの計測における再現性」、「厚みの変化を捉える性能」、および「医療機関等で使用されている設置型 OCT で撮影した画像との相関性」について評価。全ての評価ポイントにおいて良好な結果が得られたという。

眼科医で窪田製薬ホールディングス最高経営責任者である窪田良博士は「網膜疾患は、日々の病状の変化を捉えることが最善の治療につながる。自宅にいながら遠隔で、網膜の健康状態を把握することができれば患者さんやご家族が積極的に治療に取り組めるものと信じ、製品化を目指す」としており、今後アキュセラ社は量産機開発に着手、製品化を進める。

窪田製薬が目指す「在宅眼科医療機器ソリューション」とは

窪田製薬はこの開発中のデバイスを活用した、遠隔モニタリングソリューションの確立を目指しており、今回の臨床試験が完了した「PBOS」はその中核となる製品だ。

窪田製薬が提唱するソリューションの全体イメージ(窪田製薬ウェブサイトより)

ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜血管新生による網膜疾患が対象の進行は患者によって異なり、来院した時が必ずしも適切な治療のタイミングになるとは限らない。医療現場でも進行が一様でないと分かっているため、患者に適時な来院を促せる根拠もなく、また患者側も定期的に通院することが難しい場合もある。窪田製薬では、患者が自宅で網膜の状態を開発中のデバイスで検査し、インターネットを介して、医師が網膜の構造や視力の変化といった病状の経過を遠隔で診断できるこうしたソリューションを確立することで、 適切なタイミングでの治療が可能になるとしている。