次世代医療基盤法に基づく初のデータ提供事例 LDIとファイザーが契約締結
次世代医療基盤法に基づく「認定匿名加工医療情報作成事業者」となっている一般社団法人ライフデータイニシアティブ(LDI)は、製薬大手ファイザーと匿名加工医療情報の提供について契約を締結、共同で治療効果や安全性の臨床アウトカムを評価する方法論について研究を開始すると発表した。同法に基づく情報提供例としては日本初となる。
ファイザーへ「レセプト」「DPC」「電子カルテ」データを提供
次世代医療基盤法、いわゆる「医療ビッグデータ法」によるはじめての研究が動き出すことになった。LDI、NTTデータとファイザーが3者で契約を締結し、同法に基づいて作成される匿名加工医療情報をファイザーに提供する。LDIは「千年カルテプロジェクト」を企画運営してきた日本医療ネットワーク協会の関連団体。医療ネットワーク協会は、日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業として2015年より全国の100病院あまりの病院のEHRシステムを1つのデータセンターで共同利用し、利活用する研究を進めていた。今回の契約では、レセプトデータ・DPC調査データに加え、同事業などで収集・利用してきた電子カルテのデータも合わせてファイザーへ提供する。3者では3つのデータセットを同時に提供することで、治療効果や安全性の臨床アウトカムを評価できるようになるとしており、今回、がん治療についてその方法論が構築可能か研究するという。ただ発表では、電子カルテ記載の情報は非定型であり、解析にはAIのアルゴリズム構築が必要であるとし、こうしたデータが臨床アウトカムの評価に活用できるかを重点的に研究する。