胸部X線画像から肺結節候補域を検出するAIを開発、プログラム医療機器として承認 エルピクセル

エルピクセルは、健康診断等で幅広く実施される胸部X線検査の画像を解析、肺がんが疑われる肺結節候補域を検出するAIを開発し、28日にプログラム医療機器として認証を得たと発表した。健康診断におけるAIで医師を支援し、プライマリケアに貢献したいとしている。

AI活用で医師単独よりAUCが改善

胸部X線検査は費用が安く被曝量が少ないため、肺がん等の一般的なスクリーニングとして広く普及しているが、それがために膨大な胸部X線画像が撮像され医師が読影する必要がある。大量の画像を処理するため時間も限られていること、読影に慣れていない医師も読影診断する機会が多いことが課題となっている。

今回同社が開発したAIは、胸部X線画像から条件を満たす肺結節の形状に類似した領域(5mm〜30mmまで)※1を検出し、医師による読影をサポートする。読影能力に関しては、承認を得るため試験を行なっており、それによれば医師単独で読影した場合と比べ、AIを用いて読影した場合、放射線科専門医で9.95%、非専門医で13.1%の感度向上が見られた。また診断性能を表すAUC(Area Under the Curve)値は、このAIを併用すると6.9792ポイント向上し(p<0.0001)、診断精度の向上が認められたという。※2

同社はこのAIの開発について、日本で健康診断が広く普及していることは非常に大きな利点であり、その機会を最大限に活用することはプライマリ・ケアへの寄与にも資すると述べている。

※1 浸潤性でないもの、胸部内で他臓器との重なりがない候補域に限定

※2 肺結節が認められる有所見画像67症例及び正常画像253症例の胸部単純X線画像を対象に、18名の医師(放射線科専門医9名、非放射線科専門医9名)による読影試験の結果。
(感度の結果)
・医師単独読影(CADなし)             合計:45.44% 放射線科専門医:47.10% 非専門医:43.78%
・EIRL Chest Nodule 併用読影(CADあり)  合計:56.97% 放射線科専門医:57.05% 非専門医:56.88%
(AUC基本統計量)
・医師単独読影(CADなし)          0.7088±0.0474.
・EIRL Chest Nodule 併用読影(CADあり) 0.7688±0.0255