光超音波3Dイメージング技術のLUXONUS、シリーズBで4.3億円の資金調達 2022年中に医療機器開発へ

(日本科学技術振興機構が公開している動画より)

 無被ばくで造影剤を用いずに血管を可視化する独自の光超音波3D/4Dイメージング技術を研究開発するLUXONUS(神奈川県川崎市)は10日、シリーズBラウンドとして約4.3億円の資金調達を実施したと発表した。調達資金を活用し、2021年中に研究機関向けの理化学機器の上市、2022年中に医療機器の開発・生産および薬事申請の準備を行う。

無被ばく、無侵襲、超高解像度の撮影が可能

 同社は、文科省「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」(2006 年度~2015 年度)と内閣府・革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」(2014 年度~2018 年度)で開発された「光超⾳波イメージング技術」を実⽤化するため、2018年12月に設立された会社だ。

 同社が持つ「光超音波イメージング技術」とは、生体にパルス光を照射した際に発生する超音波を特殊なセンサーで補足し、受け取ったデータをコンピュータ解析により画像化する技術で、この技術を使えば、造影剤を必要としない無侵襲、無被ばく、かつ超高解像度の3D/4D画像を撮影できる画像診断装置の開発が可能になる。微細な部位を撮影できるのが特徴で、血管やリンパ管を既存機器では捉えられない精度で可視化できることから、実用化されれば血管やリンパ管の形態や機能情報を得られるようになり、術前診断や治療効果の早期判定、またこれまで解明が困難であった疾患の機序の研究に役立てられることが期待されている。

 今回のシリーズBラウンドには慶應イノベーション・イニシアティブ、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタルなどが参加、合計で約4.3億円の資金を獲得した。同社はこの資金を活用し、2021年に研究機関向けの理化学機器の上市、2022年中の医療機器の開発・生産および薬事申請の準備を予定している。

 なお同社は現在、京都大学医学部附属病院および慶應義塾大学病院と、日本医療研究開発機構(AMED)「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靱化事業」にて、開発中の装置を用いた疾患(末梢脈管疾患、リンパ浮腫、乳がんなど)と再建手術に関する臨床研究を進めており、今後、研究成果を医学系学会等で発表するほか、近々では、第80回日本癌学会(9月)、第17回日本血管腫血管奇形学会(10月)、第5回APFSRM2020/第48 回日本マイクロサージャリー学会(12月)での学会発表も予定している。