エムスリー株式会社は、人工知能(AI)を活用した医療機器・サービスの研究開発から製造販売承認申請、承認後の販売までを、専門性を持ったエムスリーグループ会社全体で一貫して支援する、AI×医療のプロジェクトに特化した開発支援事業(呼称「エムスリーAIラボ」)を開始すると発表した。同時に、第1号案件として、エルピクセル株式会社の画像診断支援ソフトウェアへの研究開発への支援を開始する。
国内に限定せず海外・クロスボーダーの事業にも支援
「エムスリーAIラボ」では、AIを活用した医療機器・サービスを研究開発する企業やプロジェクトに、エムスリーのコンサルタントが伴走支援を行い、戦略立案をサポートする。上市までの各プロセスにおいて、必要に応じエムスリーグループの最適なサービスを提供するほか、有望な事業に関しては投資も視野に入れるという。海外・クロスボーダーの事業に対しても門戸を開くとし、具体的には以下4分野での支援を予定している。
①医療ビッグデータ収集支援
– AI研究開発時の学習データとなる医療情報を国内25万人、全世界400万人の医師会員・医療機関から広範に収集
②臨床試験・製造販売承認申請支援
– AIを活用した医療機器の薬事戦略立案についてコンサルティング – 医療機器関連ではリーティングポジションにある、グループCRO,SMOによる臨床試験・治験の実施 – 会員基盤を活用した迅速な被験者募集
③製品マーケティング支援
– 実現化されたAIサービスは日本国内の25万に医師会員(日本の医師の8割強)だけではなく、全世界400万人の医師会員に向けたサービスのプロモーション – 課金やヘルプデスクなど利用サポート体制も提供
④ファイナンス支援
– これまでのベンチャー投資の実績(累計20件以上)も活用した、ニーズに応じた資金面での支援
第1弾支援はLPixel エムスリーが研究用に医用画像を提供
最初の支援先として選定したのが、東京大学発の画像診断支援システムの研究開発を行なうエルピクセル株式会社だ。同社は画像解析に関する特許を持ち、画像診断のアルゴリズムを担うAI「メディカルAI Eirl」を展開し、医療機器承認を目指している。エムスリーAIラボは研究開発のための医用画像をm3.com等を通じて医師・医療機関から安全に収集する支援を行なう。また今後m3.comを通じ、多数の放射線科医による試用や効用の研究を行い、エビデンスの構築を支援する。なお、エムスリーAIラボ全体としては、今後3年間で20案件の支援を目標とする予定だ。