メロディ、「妊娠うつ・産後うつ」の予兆検知技術の確立へ 島津製作所の心電デバイス活用

 周産期のオンライン診療プラットフォームを開発・販売するメロディ・インターナショナル(⾹川県⾼松市、以下メロディ)は、島津製作所(京都府)、京都大学、熊本大学と共同で、「妊娠うつ・産後うつの発症・重症化を防ぐための兆候を検知する技術」に関する共同研究を開始したと発表した。自社の胎児モニタリングデバイス開発で培った心拍変動解析技術と島津製作所の心電デバイスを組み合わせ、妊産婦の妊産婦のうつの発症・重症化の兆候を検知できる技術の開発を行う。
 

島津製作所のデバイス「HuME」を活用

島津製作所が開発した「HuME」心電デバイス

 近年、妊娠中・産後に発症するうつは、深刻な社会問題として認識されてきている。国立成育医療研究センターなどのチームの研究では、産後1年間に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定された母親は10.8%に上り、また、2015~2016年に妊娠中から産後1年未満に亡くなった女性の死因は自殺が最多だった。メロディ・インターナショナルはこれまで、独自の心拍変動解析技術で胎児の心拍を測定できるモバイル胎児モニター「分娩監視装置iCTG」を核とする周産期遠隔医療プラットフォームを展開しており、この経験を生かし、第二のパイプラインとして妊産婦のうつ発症・重症化の兆候を捉えるサービス開発に乗り出す。

 それにあたり、デバイスは自社開発ではなく島津製作所のデバイス「HuME 心電デバイス」を活用する。島津製作所はこのデバイス発表時より、社外とのオープンイノベーションにより社会実装を目指してきており、デジタルヘルス領域での新たなビジネス創出を見据える。共同研究には、京都大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター、熊本大学医学部 産科婦人科学教室、熊本大学大学院 生命科学研究部神経精神医学講座が学術機関、臨床現場として参画する。メロディは共同研究を進めて2024年にはサービス提供を開始したい考えだ。