2020年5月1日、厚生労働省は国が管轄するデータベースの1つNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のデータの目的外利用が発生したとして、関係者の1人を処分したと発表した。正規の手続きを行わずにデータを製薬企業に提供したとされている。
国立精神・神経医療研究センター部長が処分
NDB(National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan)は、各医療機関が診療報酬の請求時に支払基金等に提出するレセプト、および健康診断等のデータを150億件以上蓄積したデータベースで、患者の受診行動など日本の保険医療のありようを示す基礎データとしても活用されている。現在は医学研究に限り、所定の手続きを経て研究関係者にのみ提供される。
不正使用と認定されたのは、国立精神・神経医療研究センターが行っている研究。精神疾患治療薬の都道府県ごとの使用量などのデータを、提供を受けた研究とは別に共同研究を行なっていた製薬企業3社などに提供したという。同省が情報提供を受け事実関係を調査したところ、国立精神・神経医療研究センターの山之内芳雄氏が主導し、利用規約に違反する目的外利用が行われたことが確認された。同省は山之内氏に対し今後データの無期限の利用禁止措置を課した。なお、山之内氏は同センターの精神保健研究所精神医療政策研究部長の職にあったが職を解かれている。同省は、引き続きその他の関係者についても調査していく考え。