2017年6月に成立した改正医療法(既報)を受け、対応した施行細則の検討を行う「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」の議論が加速してきた。10月に入りすでに2回開催され、10月25日に行われた会では、大きな課題として議論されてきた、主に美容外科系の広告でみられる術前術後の「ビフォー・アフター」写真について省令で規制することがほぼ決まった。
「ビフォーアフターの問題は、本検討会が必要となった根本理由の 一つであるためかなり重要」
「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」は2016年3月に設置され、改正医療法における表現規制の枠組みを事実上規定してきた。法案成立後の2017年10月より、法律の施行に向け必要な省令、細則、ガイドラインの内容を定めるべく議論が再開されている。
10月最初の検討会で、まず上図のような振り返りと整理がなされた上で、「省令で規制すべき事項はないか」という論点から議論が再開された。その対象として主にあげられたのは、美容医療の広告でみられる体験談や術前術後のいわゆる「ビフォーアフター写真」。委員間で活発な議論が行われ、中には乳房再建術の例に、情報提供の範囲が狭められるとして現状維持を主張する意見もあった。しかし写真自体の加工や症例の恣意的選別の可能性を確認、指摘する手段が現在はないこと、現に写真が原因でトラブルが多発していることから、最終的には全面的な規制を求める声が多数となった。事務局である厚生労働省医政局は議論の結果を踏まえ、規制のかたちとして省令で規制する方向になるとみられる。なお広告にあたらず、個別の医院への誘引性もない学会等における症例検討等の比較写真は規制の対象外となる。
他媒体での表現規制を引き続き議論へ
検討会は引き続き、ウェブの各媒体における表現規制についての個別的な検討に入っている。現状の規制との整理も含め「ランキングサイト」「口コミサイト」「医療情報総合サイト」「SNS」「アフィリエイト」「バナー広告・リスティング広告」の例をあげ、現行の医療広告ガイドライン、医療機関ホームページガイドラインを趣旨を踏まえつつ、拡大された対象にどのようなかたちの規制をかけるか議論を進める見通し。