2018年5月12日、厚生労働省は平成29年度に実施した「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」の報告書を公表した。製薬企業などから広報活動を受ける医療機関にモニターを委託し、広報活動を受けた際、疑義を感じた事例を報告させるもの。指摘を受けた事項は67項目に及び、そのうちネット媒体での表現に対するものも複数見られたという。
医療機関が覆面調査
この事業は、近年取りざたされた製薬企業による研究不正を受けて創設された制度。製薬企業から情報提供、広報活動を受ける医療機関の中からモニタリングする機関を指定し(非公開)、一定期間、その医療機関が受けた活動の中から、問題があると感じた事例を収集、評価するもの。平成29年度は半年間にわたって実施された(どの時期かは明らかにされていない)。
ネット上でも複数の疑義報告
対象となる製薬企業の活動は、担当者(MR)による口頭・印刷物による説明のほか、Webサイト、専門誌での広報・広告と多岐にわたる。今回公表された報告書では、あわせて65件の疑義が報告され、その中にはネット上の表現も複数あるとされた。
報告書は、医療関係者向け専門誌・学会誌については、一見して不適切と判断できる事例はなかったとする一方で、“クローズドな場”においては不適切な事例があるとした。具体的には製薬企業の MRが行う製品説明会や医療機関を訪問しての情報提供、企業のホームページのうち登録した医療関係者のみが閲覧可能な領域などを挙げた。不適切事例のうち、同一の医薬品について複数のモニター医療機関から類似した報告が寄せられたものがあり、営業所あるいは支店単位での関与が疑われる事案が存在するともしている。
また報告例のいくつかを事例として公表している。インターネット上の媒体に関するものの中では、比較試験のデータにもかかわらず、対照群のデータを削除して掲載していた事例が挙げられている。
報告書全文と概要版は以下から参照可能だ。