オンライン診療による初診を認める方向で検討 厚生労働大臣が表明

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 2020年3月31日に開催された経済財政諮問会議に加藤厚生労働大臣が臨時委員として出席し、新型コロナウイルス対策として、オンライン診療による初診を認める方向で急ぎ検討を進めると方針を表明した。今後専門家による検討会で要件を詰めるとみられる。

「リスクを比較考量しつつ至急検討を進める」

経済財政諮問会議に提出された資料より https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0331/shiryo_03.pdf

 基本的には骨太の経済財政政策について検討を進める内閣府主管の「経済財政諮問会議」に、新型コロナウイルス対策を主とした緊急経済対策、その執行に必要な規制改革の観点から、加藤厚生労働大臣が臨時委員として会議に出席した。大臣は「新型コロナウイルスを踏まえた遠隔医療の取組について」と題した資料を提出し、今後の検討の方向性を示唆。「対面診療を行うリスク」と「対面診療でないことによる見逃しや重症化のリスク」を比較考量し、どこまでならオンライン対応可能なのか至急検討を進めると表明した。すでに無症状・軽症感染者に対し、オンラインで経過観察を行うことを臨時的に認めていることから、事実上、感染を疑う患者の診察に関してオンラインによる初診を認める方向とみられる。

 ただし、具体的な要件はこれから定めることになる。定常設置されている厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に近日中に諮問するとみられるが、臨時的措置としても、オンライン診療のみで適切に新型コロナウイルス感染を疑えるかどうかはハードルが高いと言わざるを得ない。問診を行なった後、疑いがあれば検査を行うことになるが、検査をどのようなかたちで行うかの体制を整える必要もある。同日に経産省が検査体制を整えている全国16カ所の医療機関に、1時間以内で検査結果を出せる国産の迅速検査機を導入したと発表しているが、これを積極的に活用する体制を検討している可能性もある。

 いずれにしろオンライン診療を認めるだけでなく、さらなる感染拡大が見込まれる中、感染判明者の移送先整備など診療体制全般の調整が必要となってくるだけに、近日中に開催されるとみられる検討会でどこまで議論を深められるかが注目される。

 

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