国循とソフトバンク、冠動脈疾患の性差研究をベースにAI開発へ共同研究開始

 国立循環器病研究センターとソフトバンクが、AI(人工知能)を活用した冠動脈疾患の診断支援およびリスク予測に関する共同研究を開始した。同センターの性差医療に関する研究「なでしこ研究」で得られた成果をベースにするもので、性差に着目することで、より精度の高い診断支援およびリスク予測技術確立を目指す。

「なでしこ研究」の成果をAI開発へ投入

 共同研究を開始したのは、国立循環器病研究センター(国循)野口 暉夫 副院長および岩永 善高 副循環器病統合情報センター長とトップとする研究グループ。ソフトバンクは同社が国循内に設置したオープンイノベーションラボ内の研究室に、研究員として参加するかたちで協力する。今回の共同研究は、国循が昨年まで進めていた「動脈硬化性疾患の危険因子の性差と予防に関する多施設共同前向きコホート研究(なでしこ研究)」で得られた成果とデータを活用するもの。

2018年のプレスリリースより

 同研究は冠動脈硬化と心血管イベントの関連に性差があるかを解明するため進められたプロジェクトで、冠動脈疾患が疑われる50~74歳の男女1,188人からなる全国規模の多施設前向きコホートを組成し解析した結果、冠動脈石灰化スコアで評価した動脈硬化の進展や冠動脈狭窄の発症割合に男女で有意差があることなどを明らかにしている。今回の共同研究では、同研究で活用した画像検査結果などのデータをソフトバンクが解析し、AIのアルゴリズム開発に取り組む。AIの開発でより精緻な診断支援や重症化リスクなどの予測の実現を目指すという。