国立がん研究センター(国がん)は2021年8月2日より、遺伝子解析結果とその結果に関連する臨床試験情報を患者へ直接提供するプロジェクト「LC-SCRUM-Support(エルシー・スクラム・サポート)」を開始した。患者や近親者に臨床試験情報を直接提供することで、情報を必要とする患者のニーズに応えるのが目的だとしている。
遺伝子解析で治療対象となった患者に情報提供
国がんでは2013年より、全国の医療機関、製薬企業と協力し遺伝子スクリーニング事業「LC-SCRUM-Japan」開始し、2019年よりその実施基盤を東アジアに拡大したかたちで、国際的事業として「LC-SCRUM-Asia」を行っている。2021年6月までに1万3千人以上の肺がん患者が参加し、肺がんの新しい治療薬、診断薬の臨床応用を目指した大規模な遺伝子解析を行っている。
2日より始めたプロジェクトでは、LC-SCRUM-Asiaの遺伝子解析によって治療の対象となる遺伝子変化が判明した患者、またはその近親者を対象として、電子メールアドレスの登録に関する同意を得たうえで、遺伝子解析結果および現在進行中の臨床試験情報を電子メールで提供する。情報提供は一回限りではなく、臨床試験情報の更新があれば適宜フォローアップする。臨床試験情報を直接提供することで、患者の居住地域や通院施設によらず、情報を必要とするニーズに応えていくという。