令和2年度の医療広告違反事例は952サイト3474件、自治体通告後も対応未完了のべ163件

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 2021年6月24日に厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」第17回が開催され、同省より令和2年度の広告違反事例について報告がなされた。それによると令和2年度の違反事例は1,799事例で、そのほぼ半数は自由診療に関するものだった。また今回、改善が見られない事例について自治体へ情報提供し、対応を求めた事例の追跡調査結果が初めて報告され、これまで情報提供した数の半数近くがいまだに改善されないままであることも明らかになった。

美容・歯科分野における自由診療についての違反がほぼ半数

厚労省資料より https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000796780.pdf

 検討会では、医療広告法令違反が疑われる事例の報告をインターネットで受け付ける「医療機関ネットパトロール事業」の令和2年度の報告が行われた。それによると、寄せられた事例のうち、実際に違反があったのは952サイトにおける3,474件。ほぼ半数の1,799件が、美容・歯科領域で、許可されていない内容についての広告だった。特に美容については「美容注射」、歯科については「インプラント」に関する広告がもっとも多かったという。

3年前の違反事例でいまだに改善が見られない例も

厚労省資料より https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000796780.pdf

 また同時に今回初めて、改善が見られない場合に管轄の自治体に情報提供し、対応を求めた事例がその後どうなったかを追跡した報告がなされた。平成30年度からの3年間でのべ341件が自治体へ情報提供されたが、改善するか広告を中止するといったいずれかの対応を未だにしていない事例が163件にものぼっていた。そのうち16件は平成30年度に指摘されたもので、3年近くも違反状態がそのままになっていることになる。令和2年度についても、情報提供した116件のうち、現在まで実に90件について改善されずに放置されたままとなっている。検討会では、この報告に関してではないが、違反を繰り返す運営者が存在することについて、対応を強化すべきではないかとする意見も出されている。

「事例解説書」も近く公表

 なお現在の医療法では、一定の4条件を満たせば広告できない内容も一部広告することができる「限定解除」の要件が示されているが、ネットパトロールに寄せられた事例のように4条件を満たさずにさまざまな広告を行う事例も多い。この日の検討会では、不適切な広告事例を個別に解説する「事例解説書」を厚生労働省から公開する予定であることも明らかになった。同省では、ここに列挙した事例が違反の全てではないとしつつも、規制する側、規制を受ける側、国民がそれぞれ理解を深めることを目的に、法令やガイドラインの改正があればそれらにもあわせ順次改修する予定としている。

外部リンク:「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」