不妊治療サポートアプリ「ninpath」にメンタルケア支援機能追加、トライアル運用開始

 不妊治療サポートアプリ「ninpath」を提供するninpath(東京都)は、 同アプリに不妊治療患者のメンタルを中心とした診療支援を行う新機能『ninpathケア』を追加、トライアル運用を開始した。アプリ内のアンケートで状態を把握、カウンセリングや診療を受ける際の参考データとして活用する。

アプリ内で定期的にメンタル状態を計測

 同社の展開するアプリ「ninpath」は、不妊治療の記録・管理を行えるアプリ。データを登録すれば、利用者の状況に近い第三者の治療データとの比較が可能になり、現状の客観的評価と、治療方針の見直しをサポートできるという。それらに加えて今回トライアル運用が開始された『ninpathケア』機能は、治療中のメンタルケアをサポートするもので、アプリ内で心理状態に関するテストを行い、定期的にメンタル状態を計測。研究等で広く活用されている心理尺度を用いて評価する。利用者が提携クリニックを利用する際、同意に基づいてデータを共有し、診療の参考にしてもらうという。

 この機能追加の背景には、不妊治療に向かう女性のメンタル状態の厳しさがある。「高度不妊治療を受ける女性の約半数が治療初期の段階で、 すでに軽度以上の抑うつ症状あり」との研究結果※1が出ているほか、 2021年11月に発刊された生殖医療ガイドラインでも不妊治療中の患者に対する心理的・社会的ケアが推奨されている。しかし、 カウンセリング受診のハードルが高いことや専門ケア人材リソースの不足など課題が多く、一朝一夕に解決する状態ではないという。同社が行なったメンタル状態に関するアンケートでも「気分が落ち込んだりイライラしたり晴れない感じがあった」と回答した人が、複数回答ながら約80%にものぼっている。また、そうしたメンタル不調についてサポート体制があるのなら、自身の状態を把握してほしいと考える人も、約53%となっている。同社ではこうした結果をもとにサービスの必要性を確認し、適切なケアラーへの導線を提供できる新機能として開発したとしている。

※1 Kato, T., Sampei, M., Saito, K. et al. Depressive symptoms, anxiety, and quality of life of Japanese women at initiation of ART treatment. Sci Rep 11, 7538 (2021).