日本初、次世代医療基盤法に基づく医用画像データの提供開始

 一般社団法人ライフデータイニシアティブ(LDI)とNTTデータは、PSPと、次世代医療基盤法に基づき、匿名加工医療情報としてエックス線画像などの医用画像データの提供を2024年10月から開始すると発表した。次世代医療基盤法に基づく医用画像データの提供は日本初の取り組みとなる。

LDI、NTTデータとPSPがシステム連携

図1:診断支援プログラム医療機器開発の流れと必要となるデータ

 日本ではMRI検査やレントゲン検査など画像検査を行う医療機器の普及率が世界トップクラスであることが知られている。これらの機器で撮像される医用画像を広範にAI開発に利用可能とすることが求められているが、これらの画像は個人情報保護法における要配慮個人情報※1にあたるため、医療機関の協力・承認の元、原則として本人の同意を得たうえでデータ取得しなければならないというハードルがある。そのため現状としては、プログラム医療機器の開発数、承認数は欧米に比べて非常に少ない状況となっている。

図2:取り組みイメージ
図3:これまでの課題と本取り組みの利点

 この課題に対応するため、次世代医療基盤法に基づく認定事業者※2であるLDI、NTTデータと、クラウド型医療用画像管理システム大手であるPSPが連携して利用スキームを立ち上げる。具体的には、医療機関あるいは学会が持つ医用画像データをPSPが収集し、これをLDI、NTTデータに連携する。LDI、NTTデータは、次世代医療基盤法に基づき、画像に写り込んだ個人情報のマスキング、CTやMRI検査の立体再構成による顔貌再現への対応など、適切に匿名加工し、医療分野の研究開発を目的に利用したい事業者・アカデミア等に提供する。

 このスキームでは、患者に対し個別同意を取得する必要がなく、医療機関等から患者に対する適切なオプトアウト※3を実施することで、データ利活用者は、LDIから医用画像データを得ることができる。そのため、データ利活用者側で医療機関や学会との個別の調整・契約などは不要となる。

 3者はユースケースとして、がん検知支援プログラム開発、疾患の重症度判定支援プログラム開発などに活用できるとしており、今後は、既存の電子カルテ、保険請求データなどの匿名加工医療情報と医用画像データを組み合わせて提供することで、より正確なリアルワールドエビデンスの創出や、より高精度な診断支援プログラム医療機器等の研究・開発が進むことが期待できるとしている。

※1 要配慮個人情報:本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報

※2 LDI:認定匿名加工医療情報作成事業者、NTTデータ:認定医療情報等取扱受託事業者
※3 オプトアウト:医療機関等において、基本最初の受診時に書面により通知を行い、通知を受けた本人又はその遺族が停止を求めないこと