岡山県域の地域医療連携ネットワーク「晴れやかネット」が昨年度末の3月31日をもって廃止、運営してきた協議会も解散となった。理由は参加医療機関数が増えないことと、収入の大部分を占める交付金がカットされたことなどによる財政の悪化だ。多くの地域医療ネットワークにも潜在する問題が改めて浮き彫りとなった。
収入増えず、赤字体質脱却の目処立たず
2013年に運用開始となった「晴れやかネット」は、岡山県、県医師会、県病院協会が設立した一般社団法人「医療ネットワーク岡山協議会」が運営し、県内の病院や診療所の会員同士がインターネットを介して電子カルテや検査画像などを共有する、いわゆる地域医療連携ネットワーク。一時期は440施設が加入していた。
今回廃止となった理由は財政問題。システム更新費を会員が負担することになっており、5年ごとに負担金が発生することが懸念され会員数が減少。さらに2021年度からは、再現の半分を占めていた国からの交付金が全額カットとなって一気に収支が悪化した。収入増加の目処が立たないことから、同協議会は3月下旬に臨時総会を開き、ネットワークの廃止と協議会自体の解散を決定した。なお協議会に加入していた施設同士の情報連携は、民間のシステムを利用し代替できるという。
地域医療連携ネットワークについては全国に大小あわせて218あるが、2,017年に会計検査院が調査したところ、利用が低調またはまったく稼働していないネットワークが存在することが分かり、厚生労働省が翌年改めて稼働状況の調査を行った経緯がある。同省の調査では自主財源がないネットワークが78存在していることも判明していた。「晴れやかネット」はそのなかでも会員施設数が3桁を超えており、比較的運用されている部類に入る(会員数が3桁を超えているのは晴れやかネットを含めて35のみだった)。今回の廃止・運営体の解散は、地域医療連携ネットワークの持続性に大きな課題が存在することを改めて浮き彫りにしている。