大阪府、独自のコンタクトトレーシングシステム開発 5月中に運用開始へ

2020年5月12日の会見でシステムについて説明する吉村洋文大阪府知事

大阪府12日、QRコードを活用した新型コロナウイルス感染者との接触通知システムを導入すると発表した。飲食店やホールなどの施設ごとにQRコードを発行、利用者にそのQRコードを来店時に読み込んでもらうことで来店記録を収集。その中から感染者が出た場合、メールで通知する。利用するかどうかは任意で、5月中の運用開始を目指す。

メールアドレスのみ、位置情報は収集せず

今回導入するシステムの対象は飲食店や映画館、劇場などの集客施設、またその施設を利用するイベントの主催者。事業者は府のホームページから店舗名やイベント名を登録し、一意のQRコードの配布を受ける。それらの利用者は、店やイベント会場に掲示されたQRコードを読み取り、自分のメールアドレスを登録する。この仕組みで、どの施設、イベントにどのメールアドレスの保持者が来ていたか収集できることになる。これらの情報は大阪府が保持、管理する。

府は、感染者の行動履歴の中に登録されている店舗・施設が含まれていた場合、利用者にメールし注意喚起するとともに、健康状態についても調査する。発熱など症状が出ていれば、府が設置している新型コロナ受診相談センターに連絡してもらうフローを想定している。

情報は希望者からメールアドレスのみを取得し、位置情報は収集しない。吉村洋文大阪府知事は「台湾や韓国では国民の同意がとれているが、日本ではそれがない。個人情報を守りながらITを使った追跡システムを検討してきた」と説明した。企画自体は4月より就任したスマートシティ戦略部部長の坪田知巳氏(日本IBM常務執行役員)がとりまとめたという。

府は15日にも、独自に休業・外出自粛要請の段階的な解除を決める予定。同時に業種ごとの感染防止マニュアルを策定・周知を行い、事業者に対して追跡システムの利用を促すことで、解除にともなう再度の感染拡大の可能性を抑止したい考えだ。