スマートフォン付属のカメラ機能を拡張する眼科向け医療機器デバイスを展開する日本のベンチャー「OUI Inc.」は、アフリカ・コンゴ民主共和国内で、このデバイスを活用した眼科遠隔診断の実証事業を開始した。現地スタッフが撮影した画像を、日本の眼科医が診察し結果を専用アプリで伝える内容だ。
現地スタッフ撮影の画像を日本から遠隔診断
慶應義塾大学医学部の眼科医が2016年7月に設立した同社は、眼科の診察を可能にする iPhone アタッチメント型医療機器「Smart Eye Camera (SEC)」を開発し、主に医療資源が乏しく眼科疾患のスクリーニング環境が整っていない開発途上国において、この機器を活用したソリューションの普及を目指している。その一環として実施される今回の実証事業は、コンゴでポータブルIoTデバイスを活用した医療ソリューションを提供するSOIK Corporationと連携し、現地と日本の眼科医を繋いで行われるという。具体的には、SOIK社の医療スタッフがSECで撮影した眼科的画像を、SECの専用アプリを介し日本から眼科医が診察。眼科疾患の疑いがある患者には、現地での眼科受診を勧奨する。
すでに実証の第一フェーズとして2022年2月4日から7日にかけ、コンゴ西部のKwango州Kengeで約20名の患者に対しSECによる眼科スクリーニングを提供した。約1/3にあたる6名に眼科疾患が見つかり、眼科受診を勧奨したという。
同社はこれまで途上国での研究・実証プロジェクトを複数行ってきており、昨年はベトナムにおいてSECを医療機器登録したほか、インドネシアでは国立病院と共同研究プロジェクトを立ち上げている。