PFNがAI創薬技術を開発、新型コロナ治療薬のリード化合物を発見
Preferred Networks(東京都)は、医薬品開発の最初の鍵となるリード化合物の探索や分子設計などを高速化するAI創薬技術を開発したと発表した。また京都薬科大学との共同研究で、その技術で探索、発見した新規化合物に、新型コロナウイルスの増殖を阻害する作用があることも確認。同社は今後、AI創薬に共同で取り組むパートナーを募集し、実用化に向けた研究を加速させるとしている。
開発したAIで7つの有力な候補物質を発見
深層学習技術(ディープラーニング)を活用した様々な分野でのAIソリューションを展開するPreferred Networksが、画像診断支援に続いて創薬への技術応用で成果を生み出した。同社は6日、これまで培った深層学習技術とプライベートスーパーコンピュータ「MN-2」を活用するAI創薬技術を開発したと発表した。具体的には、リード化合物*1を得るための候補物質の探索、分子設計、モデリング、最適化を高速化するもので、医薬品開発の初期工程を大幅に短縮するとともに、人間が発想できない新しい分子構造の提案が可能になることが期待できるという。
また同社は今回、その技術の有効性を京都薬科大学との共同研究で確かめた。ターゲットは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬で、これまでに発見された新型コロナウイルスのメインプロテアーゼ阻害物質がロイシンあるいはその類似構造を持つペプチド様化合物に集中していることから、将来のウイルスの変異に備えるため、異なる構造の非ペプチド様化合物の発見を目指した。開発したAI創薬技術を投入した結果、可能性のある13の新規化合物を抽出、合成して活性試験を実施した結果、7化合物で新型コロナウイルスのメインプロテアーゼの活性を阻害する作用を確認したという。
同社は技術改良を続けるとともに、共同で取り組む社外パートナーを募集し、実用化に向けた研究を加速させるとしている。