音声分析で嚥下機能を評価する技術を開発、事業化へ PSTとSOMPOグループ

 PST(神奈川県横浜市)とSOMPOホールディングス、SOMPOケアは、スマートフォンやタブレットなどで音声を解析して高齢者の嚥下機能評価を行う技術を共同研究開発し、2022年に事業化すると発表した。グループ内の介護サービスでの利用、または外部へのサービス提供を今後進める。

アプリによる日常的な嚥下評価を可能に

 日本をはじめとした高齢社会における誤嚥性肺炎の増加は重大な社会課題だが、嚥下機能を評価するには認定を受けた看護師や言語聴覚士がかかわったり、内視鏡検査を行うなどが必要となっており、恒常的に行うことが難しいものになっている。本来はこまめな嚥下評価を行い、その結果に基づいて最適な嚥下食を提供することが求められるが、現状ではその実現は容易ではない。

 このような課題に対し、音声で健康状態や機能を判定する「音声病態分析技術」を有するPSTと、SOMPOホールディングスが運営する未来の介護研究所「Future Care Lab in Japan」、SOMPOケアは、音声から高齢者の嚥下機能を評価する技術開発を目的とし2020年7月より共同研究を開始、このほど実用化の目処をつけた。今回研究開発した技術を活用すれば、手持ちのスマートフォンやタブレットを使用し、複数パターンの発声をするだけで即時に嚥下機能の定量評価が可能になるという。これにより、日常的に嚥下機能をチェックし日々の推移を確認できるため、嚥下機能の低下を見逃さず専門的な検査を行うことができるとともに最適な嚥下食の提供を行え、重大な事象を未然に防ぐことにもつながるとしている。また、この技術のベースとなったPSTの解析技術は言語に依存しないことから、海外展開も可能だという。

 今後、SOMPOホールディングスおよびSOMPOケアは、介護サービスにおける事業化や幅広い場面での利用を目指し、PSTではさらなる研究開発、同技術の様々な事業体への提供を進める。