量子コンピューティング技術で放射線治療計画をわずか2分で生成 富士通研究所とトロント大が技術開発

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 富士通研究所はトロント大学と共同で、量子コンピューティング技術を応用し、ガンマナイフの放射線治療計画を短時間で生成する技術を開発したと発表した。実際に医師による手動の計画と比較したところ、精度は同等で、かつ手動では最長で180分かかるところを、同技術では約2分程度で完了するという。大幅な時間短縮が実現することで、医師と患者双方の負荷を大幅に軽減することが期待される。

「治療計画」の生成時間を大幅に短縮

 専用の医療機器の線源(コバルト60)から放出されるガンマ線(γ線)を、病巣部に対し虫眼鏡で焦点を定めるように1点集中で照射することで腫瘍の除去を目指すガンマナイフ治療は、その非侵襲性および精度の高さから、脳腫瘍などの治療に使用されている。192本のガンマ線の光源を様々な方向から照射することで患部には指定の線量を当てる一方、周辺の正常な組織への照射量を抑えることができるのもメリットだ。ただし患部に対して最適な照射になるよう、照射の位置、形状、強度といったパラメータを最適化する治療計画が必要となる。
 
 このパラメータの組合せパターンは膨大なため、治療計画の生成は医師が経験に基づき手動で調整を行わざるを得ない。現在これにはおおよそ1.5時間から3時間程度かかるといわれており、医師の負担は少なくない。また計画生成の間、患者は頭部に定位のための金属フレームを固定され身動きが制限されたまま待機するため、患者にも大きな負担となっている。

 この課題に対し、富士通研究所とトロント大学は、量子コンピューティング技術を応用しガンマナイフの治療計画生成技術を共同開発した。人体の物理特性を使用し、ガンマ線照射時の照射点の形状を最適化したほか、最初にすべての照射点の位置を同時に探索することで、治療計画を高速に生成することが可能になったという。トロント大学が持つ聴覚神経腫瘍49例について、今回開発した技術を従来の医師の手動による方式と比較したところ、手動による計画と同等の精度を示したほか、さらに、手動では計画の生成に1.5時間から3時間程度要していたところ、開発した技術では2分程度と大幅に短縮された。

 今後両者はより多くの患者のデータに基づいて有効性をさらに検証するとともに、ガンマナイフ治療の治療計画生成以外のプロセスの時間短縮、ほかの放射線治療方法への応用なども進めるとしている。

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