光免疫療法の楽天メディカル、楽天より追加出資1億ドル受け入れ

 

世界的に注目される「光免疫療法」の事業化ライセンスを持つ楽天メディカルは、楽天から1億ドルの追加出資を受け入れると発表した。 楽天メディカル社は、今回の出資受け入れにより楽天の持分法適用会社となる。

「治療法の研究開発・販売を超えて、 医療エコシステムの構築を目指す」

今回の楽天からの追加出資受け入れにより、 楽天メディカルは、 光免疫療法の販売体制等の準備と、より多くのがん種への適応拡大を目指すという。両社の経営トップである三木谷浩史氏は 「楽天の持つテクノロジーと、 楽天メディカル社の持つ革新的な光免疫療法プラットフォームの融合を推進し、 治療法の研究開発・販売を超えて、 医療エコシステムの構築を目指す。 一日でも早く、 世界中の患者に治療法を届けられるよう取り組んでいく」と述べている。今回の追加出資により、 楽天メディカル楽天の持分法適用会社となる予定。

光免疫療法とは

2011年に米国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員が開発した新しいがん治療法で、可視光と赤外線の間の波長(700nm)の近赤外線に反応する物質(IR700)を付加した抗体を照射し化学変化を起こさせ、がん細胞を破壊させる。この抗体はがん細胞以外に結合することがないうえ、近赤外線以外には反応しない。また、近赤外線はリモコンなどで活用されている安全な光であり、さらにトリガーとなるIR700はフタロシアニンという色素で、米国食品医薬品局(FDA)ががん治療に使用することを認可している安全性の確認された物質であることから、副作用発現の可能性が極めて少ないとされている。2012年1月、当時のオバマ大統領が議会への一般教書演説で偉大な成果として取り上げ、世界中の脚光を浴びた。

現在、臨床試験段階だが、アメリカでは再発頭頸部扁平上皮癌患者を対象とした臨床試験が第Ⅱa相まで良好に終了し、国際第III相の臨床試験が日本を含めた複数の地域で開始されている。また日本では、局所再発した頭頸部扁平上皮がんを対象に昨年国内第I相の臨床試験が実施されている。2019年4月、厚生労働省が「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定しており、早期の実用化が期待される状況だ。