昭和大学横浜市北部病院消化器センター(工藤進英センター長)は、かねてよりサイバネットシステム社と共同開発し、特許を取得していた大腸内視鏡検査における診断支援システムについて臨床試験を行い、微小大腸ポリープを93.7%の精度で診断したと発表した。
791例の患者にAI併用の大腸内視鏡検査を実施
今回臨床試験を実施した診断支援システムは、細胞レベルまで拡大映写できる超拡大内視鏡(オリンパスEndocyto)を使い前がん病変を自動識別するもので、昨年両者共同で特許出願し成立している(既報)。開発にあたっては昭和大学・国立がん研究センター中央病院・国立がん研究センター東病院・静岡がんセンター・東京医科歯科大学から学習用画像の提供を受けたが、今回の臨床試験で精度を確認した。
試験では791人の患者に対し、同システムをリアルタイムで用いた大腸内視鏡検査を実施。システム(AI)は微小大腸ポリープを93.7%の精度(=腺腫に対する陰性反応的中率)で診断した。結果は米国内科学会雑誌Annals of Internal Medicineに2018年8月14日付で掲載された(論文の影響力を示すインパクトファクターは19.384)。また米国消化器学会誌である『Gastroenterology』誌の2018年6月号にも掲載されている。病変を自動検知する大腸内視鏡AIの論文報告は、医師としては世界初とだという。
研究代表者である昭和大学横浜市北部病院 森悠一講師は「内視鏡へのAI応用については国内外で研究が活発化しておりますが、診療現場で評価した前例がほとんど無いため、真の精度は不明でした。本研究では、実際の患者様に御協力頂くことで、現場レベルでのAIの有効性が確認できました」と語っている。
なおこのシステムは薬機法承認申請済で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)における審査が進行中だ。