「女性は男性よりも睡眠が短く、質の低下も顕著」日本居住者7万人弱のビッグデータから判明

 日本居住者約7万人の睡眠時のデータを、機械学習も活用し解析した成果が発表された。それによると、睡眠量や質における性差が明らかになるなど、欧米での先行研究とは違った新たな知見が得られている。研究成果は査読付きの科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

約7万人の睡眠時におけるホルター心電図データを解析

 研究成果を発表したのは、大阪大学大学院基礎工学研究科の李俐特任研究員、中村亨特任教授、東京大学大学院教育学研究科の山本義春教授、名古屋市立大学大学院医学研究科の早野順一郎教授らの研究チーム。チームでは、ALLSTAR研究(Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository研究)で日本全国から集められた約7万人の24時間ホルター心電図計記録に付随する3軸体幹加速度データを、機械学習も活用し睡眠指標(総睡眠時間、睡眠効率、睡眠潜時、中途覚醒時間など)を算出する手法を開発し解析した。これまで日本で実施されてきた客観的な睡眠実態の研究としては、過去最大規模だという。

 解析した結果、睡眠時間については、年齢に対しU字型の変化を示すこと、中高年で最も短く、また加齢に伴い「早寝早起き」になることが客観的に示された。また女性は男性に比べ睡眠時間が平均で約30分短く、30歳以上で顕著となることも明らかになった。研究グループでは、男性よりも就床時刻が遅いにも関わらず起床時刻には違いがないこと、さらに加齢に伴う睡眠の質の低下が男性よりも顕著であることなどが要因だと分析している。欧米における同様の調査とは異なる結果であることから、こうした睡眠特性には、生物学的な加齢に加え、日本特有の社会的・文化的・家族的要因などが複合的に関与しているとの見方も示した。なおこの研究成果は、査読付きのオープン・ジャーナルである「Scientific Reports」に、5月11日付で掲載されている。

外部リンク(論文):Age and gender differences in objective sleep properties using large-scale body acceleration data in a Japanese population(Scientific Reports)