2019年2月8日、厚生労働省は都内で「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の第2回を開催した。初会合で示された見直し項目に従い、今回は主に「初診対面の原則の例外疾患」について議論を行った。
アフターピル処方は議論伯仲、次回専門家招き議論深める
この日の議論の多くは、現在禁煙外来のみとなっている「初診対面原則」の例外疾患について割かれた。具体的な疾患名を挙げて議論が行われたが、まず「男性型脱毛症(AGA)」「勃起不全症(ED)」「季節性アレルギー性鼻炎」「性感染症」については、一部委員より例外としてはどうかという声があがったものの、多数は現行通りを良しとする意見だった。
意見が別れたのは「緊急避妊」、つまりアフターピル処方の是非。主に受益者側(患者側)の委員は、被害者救済の観点から「心の傷が大きく受診のハードルが高い」とし、まずはオンライン診療で医療者が心のケアも含め寄り添う必要性を訴えた。これに対し診療側の委員からは、避妊薬の転売や薬害発生の懸念が示され方向性が定まらず、次回の検討会以降、産婦人科医などの専門家を参考人招致しさらに議論を深めることになった。
セカンドオピニオンは「オンライン受診勧奨」扱いへ
前回で議題化を求められたセカンドオピニオンについては、その前回で改めて整理された「オンライン受診勧奨」と「遠隔健康医療相談」の区分けに基づき(既報)、医学的判断に基づく治療方針等に関する助言に止まるのであれば「オンライン受診勧奨」扱いとし、初診対面の原則から外す方向となった。なお「他の医療機関への診療情報提供書(紹介状)の作成 」「個別の患者の治療内容の確定」まで行う場合は受診勧奨ではなくオンライン診療とし、対面を原則とすることも示された。
研修必須化、修了証提示義務を2019年秋にも
また方向性が定まった大きな事項としては、オンライン診療に関する研修受講と、修了証提示の義務化だ。本年度も厚生労働省事業として「遠隔医療従事者研修」を開催中だが、今後はこうした厚労省が定める研修の受講が必須となる(この研修事業が対象となるかは明確化されていない)。また、2019年10月以降はその修了証をWebサイトなどに提示することも義務とした。なお現在すでにオンライン診療を実施している医療機関については、2020年3月までに研修受講を求められることとなった。
この日の検討会ではその他に、
・オンライン診療計画は「オンライン診療完結の日から起算して2年間保存」が義務、5年保存が望まれること
・オンライン診療の間の補完として、チャットによる患者とのコミュニケーションは認める。その事項と範囲はあらかじめ決めておくことが望まれること
等が確認された。