2017年11月9日、医療用チャットサービスを提供する株式会社シェアメディカルは、EPDS(エジンバラ産後うつ病自己価指標)アプリを開発したと発表した。調査結果は多施設での集計も可能で、本年度から始まっている厚労省の産婦健康診査事業にも対応できるという。
EPDS評価スケールのデジタル版を提供、調査結果は施設ごとに集計も
産後うつの疑いを判定する「エジンバラ産後うつ病自己評価票」は標準的なスケールのひとつとして世界中で使われているが、今回シェアメディカルは、日本語版著者の一人である宗田聡医師による正式な監修を受け、タブレット等で調査を実施できるアプリを開発した。医療機関向けに提供し、有料オプションでデータ取得・集計も可能とした。データはシェアメディカルの主力製品である医療用チャットサービス「MediLine®」上で動作し、データ流通中のセキュリティ対策も考慮している。
この集計機能は、本年度から始まっている厚生労働省の「産婦健康診査事業」を意識したもの。厚生労働省ではここ数年、「妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の実施」を目標として予算を組み、具体的には自治体における母子保健医療対策強化の一環としてこの事業を新規で開始した(資料)。この事業ではさまざまな観点から産婦の健康状態を把握するが、もちろんEPDSを使ったメンタルヘルスのチェックも推奨されている。日本においては9点以上が産後うつ病の区分点だが、当然ながら、本来は収入や学歴、就業状況、家族、自治体などからの支援など、出産直後の母親のおかれた様々な社会的環境によって区分点は大きく影響する。こうした地域性や他のデータとの相関調査を行うことで、よりきめ細やかな支援が行なえるほか、自治体などの母子保健行政にも活用してもらうことを想定しているという。