必要被験者数を500人程度に抑えられる「臨床シミュレータ」開発 名古屋大学らの研究グループ

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 新型コロナなどの新興感染症に対する臨床試験の迅速化が期待できる「臨床シミュレータ」が登場した。成果を発表した研究グループによると、このシミュレータを活用すれば、必要な被験者数を500人程度までおさえられることを確認しているという。すでに国内臨床試験で採用され実利用が始まっている。

臨床データを数理モデルで解析、ウイルス動態の層別化に成功

 研究成果を発表したのは、名古屋大学大学院理学研究科(生命理学)の岩見真吾 教授、同大学院理学研究科の岩波翔也助教、米国インディアナ大学公衆衛生大学院の江島啓介助教らの研究グループ。グループでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の臨床データを収集し数理モデルを用いて分析したところ、患者間でウイルス動態、特にウイルスの減衰速度に大きな差があることを発見したという。この考察に基づいてランダム化比較試験を再現するシミュレータを開発し、サンプルサイズについて検証を試みた。

 結果、発症時期にかかわらず患者を試験に参加させた場合、有意差を得るのに1万人以上の被験者が必要であることが分かった一方、発症後間もない患者のみを試験に参加させた場合は、必要被験者数を500人程度に抑えることができることを発見した。研究グループによればこれは世界初だという。

 研究グループでは、数理科学と生命医科学の異分野融合により臨床試験設計を補助することで、抗ウイルス薬剤治療の臨床試験における課題を特定し、標準治療の確立を大幅に加速させることが期待できるとしており、実際に医師主導臨床試験(jRCT2071200023)の設計に用いられ実利用されている。この成果は、2021 年 7 月 7 日(水)(日本時間)に国際学術雑誌「PLOS Medicine」で掲載された。

論文リンク:Detection of significant antiviral drug effects on COVID-19 with reasonable sample sizes in randomized controlled trials: A modeling study(PLOS Medicine)

 

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