世界最小クラスのECMO(体外式膜型人工肺)の開発に成功 近大研究グループ

NEWS, COVID-19

 近畿大学の研究グループが、世界最小クラスの体外式膜型人工肺(ECMO)の開発に成功したと発表した。主に小児や低体重の患者の使用を想定して開発したもので、2021年には医療機器として販売開始されるという。

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X線CT装置の活用で開発促進

 機器を研究開発したのは、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)医用工学科の福田 誠准教授らの研究グループ。体外式膜型人工肺(ECMO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重度の急性呼吸促迫症候群の治療に使用されるほか、心臓冠動脈バイパス術などの心臓血管外科手術などでも使われている。

 ECMOには酸素と二酸化炭素を透過させる中空糸膜 が内蔵されており、この膜を隔てて内腔部分に酸素ガス、外側に患者の血液が流される。血液に酸素加するECMOの血液流路はこの中空糸膜により実現しているが、ヒトの血管に比べ複雑であり、血液の偏流や空気の滞留などの不具合の可能性もその構造に比例して大きくなっている。今回の開発では不具合の可能性を低減するため、ECMO内部の血液流路を和歌山県工業技術センターにある高出力のX線CT装置を用い動き非破壊で撮像、使用時のX線造影剤と空気の滞留に着目して観察した。これで得られたデータをもとに設計コンセプトを考案、世界最小クラスのECMOが開発できたという。

 研究グループでは、今回開発した世界最小クラスのECMOは、主に小児や低体重の患者への活用が期待されるとともに、心臓血管外科手術や新型コロナウイルス感染症重症患者の治療に効果をあげることが非常に有望だとしている。2021年には国内医療機器メーカーから販売開始される予定。

※ 中空糸膜
代表的な分離膜の形態の一つ。フィルム上の平膜に対し、ストローやマカロニに似た形態が特徴。膜の厚み部分の物理的な三次元細孔構造や、医療用中空糸膜であれば血液と接触する表面の化学的特性(生体適合性)の設計が重要とされる。

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