東京工科大学コンピュータサイエンス学部の研究チームは、統合失調症などの認知機能障害者の就労支援などを目的としたリハビリテーション用ゲームソフトウェア「Jcores(ジェイコアーズ)」の改訂版を開発した。2019年4月を目処に病院施設などで運用を開始する予定。
日本初の専用ソフト、タブレット対応でさらに普及加速へ
「Jcores」は、2011年に同研究チーム(チーム長・東京工科大学コンピュータサイエンス学部 亀田弘之教授)が、帝京大学医学部・池淵恵美教授らと共同開発した日本初の認知機能リハビリテーション専用のゲームソフト。統合失調症など障害者の就労支援を行うプログラム「VCAT-J」※1として、デイケア施設や大学病院での臨床現場で運用されている。統合失調症では、注意や記憶などの認知機能の障害により日常生活や就業がうまくいかなくなることが知られているが、同ゲームソフトによるトレーニングで、これらの改善効果が報告されている。
今回開発された改訂版(Ver2.0)では、従来のPC版(Windows)に加え、タブレット端末(iOS、Andoroid)にも対応したほか、高齢者向けにタッチパネル等の操作性を向上させたという。研究チームではこの改定により多くの施設での導入が期待できるとしている。
※1VCAT-J(Vocational Cognitive Ability Training by Jcores)
専用ゲームソフト「Jcores」によるトレーニングを組み入れたリハビリテーションプログラム。精神障害を持つ方の就労支援に有効とされている援助付き雇用モデルや、より厳しい原則を持つ個別就労支援モデルに基づいたもの。この種のソフトウェアとしては日本初のものであり、現在日本で最も普及している。