スマートフォンカメラで血圧測定を可能にする格安アタッチメント、精度も実用化が視野に 米研究
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、スマートフォンのカメラを使用し血圧を測定できるアタッチメント「BPClip」を発表した。カメラ正面に指を固定できる仕様で、安定的に血流を把握できるという。
シンプルな構造で計測を実現、アタッチメントに指を押し当てるだけ
同校のEdward Wang教授が主宰する「デジタルヘルスラボ」が開発したこのアタッチメントは、スマートフォンのカメラ周囲に取り付けるアタッチメント。血圧を測る際は、スマートフォンを心臓の高さに保持してから、人さし指をアタッチメント背面のくぼみに押し当てる。
押し当てることにより、指先がスマートフォンカメラのライトで照射され「赤い円」としてカメラに映し出される。同時に開発した解析アプリが、赤みの強さで指先の血液の量と変異を解析し、収縮期血圧と拡張期血圧に変換するという。
精度については、収縮機血圧が80~156mmHg、拡張期血圧が57~97mmHgの24人の被験者で検証した結果、標準的なカフによる血圧計と比べて、収縮期血圧、平均血圧、拡張期血圧それぞれについて、平均絶対誤差(MAE)は8.7±10.0、8.4±10.3、5.5±7.0mmHg、バイアスは1.72、0.79、0.3mmHgだった。肌色によって結果が偏っているかどうかを調べるため、アジア系、ヒスパニック系、白人グループに分けて解析すると、SBPについてはそれぞれ7.7±4.2、8.6±5.2、10.2±6.9、DBPについてもそれぞれ4.5±4.6、9.5±6.4、6.5±2.9となり、有意差はなかった。
制作コスト1ドル以下、大量生産でさらに10セントまで低減可能
BPClipのパーツは3Dプリンターで制作可能で、現在のコストでも1つあたり0.8ドル(80セント)で制作できるとしており、ラインを組めば0.1ドル(10セント)まで下げられるという。開発に関わっているデジタルヘルスラボ所長のEdward Wang教授は、「安価なので、血圧のモニタリングが必要だが、定期的にクリニックに通うことができない人に配ることができる」と語った。歯科検診でフロスや歯ブラシをもらうのと同じように、血圧モニタークリップを検診で渡すことができるようになるとした。
また論文の共著者であるアリソン・ムーア氏は、「標準的な血圧計は正しく装着するのが難しく、このデバイスを使えば高齢者でも容易に血圧を自己測定できる可能性がある」としており、今後は測定精度のさらなる向上とともに、より高齢者に使いやすくするようユーザビリティの改良も続けていくとしている。