モバイルで使用できる「筋肉専用超音波測定装置」を共同開発 国立長寿医療研究センター
高齢社会を乗り越えるため、ロコモティブ・シンドロームに対する取り組みが進んでいるが、対策の基礎となる関連部位の筋肉量を臨床で精度高く確認できるモダリティを国立長寿医療研究センターがメーカーと共同開発した。かかりつけ医の臨床やリハビリの現場だけでなく、フィットネス領域などでも広く普及を目指したいとしている。
「筋肉の質」も測定可能
ロコモティブ・シンドローム予防や進行抑止のためには、大腿四頭筋の筋肉量と質を維持することが重要だが、現在それを確認するには主に基幹病院が配置しているCTを利用するほかないのが現状だ。今回、国立長寿医療研究センターは古野電気(兵庫県西宮市)と共同で、この課題を解消するモバイルの超音波検査装置を開発した。大腿四頭筋の画像評価研究を行なっているロコモフレイルセンターが、測定精度や臨床的な意味合いについて有用性を検証するための研究を担い、2021年より特定臨床研究を2年間にわたり実施。同一断面で撮影したCT画像との相関性に優れていることを証明した※1。 医療機器認証も取得している。
同センターでは、軽量で手のひらサイズと小型なためどこでも測定が可能で、太ももの内側から前側、外側へゆっくりとなぞることで15 秒程度で CT 画像に似た広範囲の筋肉の描出ができ、また筋肉の質の劣化についても測定可能であるとしている。このため、病院内ではリハビリスペースや病室など色々な場所での測定、街中の診療所や様々な健診の場、さらにはより若い世代も対象としたスポーツ現場やトレーニングジムなど広い応用範囲が見込まれるとしている。