エコー(超音波画像診断装置)は、人体に対する安全性、画像のリアルタイム表示などの利点が評価され、産婦人科において胎内の確認や乳がん検査のための乳腺の状態確認などに使われているが、さらなる高解像度化や機器の小型化など、進歩の著しい分野でもある。最新の事情を紹介する。
VR装置でMPS治療の遠隔教育システムを開発 エコー画像をリアルタイムで配信しながら指導
2017年6月28日、映像制作者などクリエイターへの技術教育、派遣など行なうクリーク・アンド・リバー社は、VR装置「IDEALENS K2+」を活用した遠隔医療教育システムを共同開発したと発表した。MPS(筋膜性疼痛症候群)の有効な治療法「筋膜リリース注射」の遠隔教育に使われるという。開発には、JMPS(筋膜性疼痛症候群研究会)会長で、筋膜リリース注射術の普及に関し指導的立場にある木村裕明医師(木村ペインクリニック院長)、システム会社のユニゾンシステムズなどが共同参画している。
システムでは、実際に木村ペインクリニック関係者が施術する様子を写した高画質の映像を、リアルタイムで「IDEALENS K2+」に配信。施術現場を遠隔地からでも強い臨場感を持ちながら見学できるようになる。また映像を視聴しながら対話ができる機能、簡単な操作で視点を変えられる機能など、「筋膜リリース注射」の技術習得に役立つ様々な機能を搭載しているとする。
筋膜リリース注射は、有効な薬物治療法がない現在において数少ない有効な治療法であると同時に、熟練したエコー読影の知見と、正確に患部へ注射するための高度なスキルが必要とされる。実際のエコー画像を確認しながら、微細な位置まで把握できるこうしたソリューションは、難易度の高い治療法を広汎に普及させるツールの先行例として注目されそうだ。
“ほぼスマホ”にまで小型化したモバイルエコー プライマリ・ケアの質に大きな寄与か
また、GEヘルスケア・ジャパンは2017年7月7日、ポケットに入る超音波診断装置「Vscan」の最新機種「Vscan Extend」を発売した。特徴は、スマホと同じタッチスクリーン式の5インチディスプレイ液晶、約1秒で起動する高速性、Wi-Fi対応だ。これらの機能・特徴は、装置をより簡単に運べ、すぐ使用でき、その画像を多職種間で共有しやすくすることに繋がる。プライマリ・ケアのさらなる向上に寄与する可能性を提示したものといえる。