新型コロナの早期診断・重症化予測を可能とする「AI聴診デバイス」開発へ 聖マリアンナ医科大とシェアメディカルが共同研究

 聴診器をデジタル化するデバイス「ネクステート」を展開するシェアメディカルは、聖マリアンナ医科大学と共同で、AI(人工知能)を活用した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の早期診断・重症化予測を可能とする『AI(人工知能)聴診デバイス』の共同研究を行うと発表した。病棟だけにとどまらずあらゆる医療現場で、高精度かつ効率的に早期診断や重症化予測を可能とすることを目指すとしている。

国内900施設以上に導入済みのデバイスをベースに
AI自動診断システムを新規開発

Nextheto ©️ShareMedical

 コロナ禍の臨床現場で、「接触を避けながら聴診できる」と注目されているデバイスがある。シェアメディカル社の「ネクステート」だ。このデバイスは聴診器のチェストピース以外の部分を取り替えるだけという簡便な方式で、医師が慣れ親しんだ機械式聴診器の微弱な⾳をデジタル化する独自の特徴を持つ。またBluetoothに対応しており、スピーカー、ヘッドフォンなどで無線接続し遠隔で聞くことも可能なため、コロナ禍で医療従事者の安全を守りながら、新型コロナ肺炎疑いの患者の診断に不可欠な聴診を行えると各地の臨床で評価されている(既報)

 今回の共同研究はこの「ネクステート」で得られる音データを評価する人工知能(AI)を開発し、早期診断あるいは重症化予測を自動で行えることを探求するもの。医療従事者等の感染拡大を防ぎながら、医師の経験や能力によらず、胸部単純X線写真やCT装置のないあらゆる医療現場で活用されることを目指す。同社ではさらに、医師が同行しない訪問看護や高齢者福祉施設、国内だけでなく新興国など医療資源が限られる国々でも活用できるものを目指すとしている。なおこの研究は科学技術振興機構(JST)、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)で採択されている。