東京大学医学部附属病院で実施されていた、CureAppのNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療用アプリの探索的臨床試験の結果が論文誌に発表された。症例数は少ないが、ガイドラインが求める効果を上回る結果が出たとしている。
ガイドラインの推奨を上回る体重減少を達成
CureApp(東京都)の次の有力なパイプラインであるNASH治療用アプリの、初めての臨床試験の結果が発表された。同アプリは、日々のモニタリングや生活習慣ログより患者ごとに最適化された治療ガイダンスを提供し、NASH の治療に必要な患者の認知と行動の変容を促し、獲得した習慣の定着をサポートすることで体重減少を通じNASH の改善に導くもの。アプリのアルゴリズムは日本の NASH 診療ガイドライン、肥満症診療ガイドラインに準拠して作成されている。
東京大学医学部附属病院 検査部の佐藤雅哉 講師(消化器内科医)、消化器内科の中塚拓馬 助教、建石良介 講師、藤城光弘 教授、小池和彦 東京大学名誉教授らの研究グループは、組織学的に NASH と診断された東京大学医学部附属病院の患者 19 人を対象に、治療用アプリを用いた 48 週間の介入を行って結果を評価したところ、平均 8.3%の体重減少が達成され(NASH 診療ガイドラインでは体重の 7%の減量を推奨)、肝組織の脂肪化や炎症、風船様変性から成る病理学的スコア(NAS:NAFLD activity score)が試験開始時に比べて有意な改善を示したことを確認した。試験前後の NAS は、過去の研究における経過観察群のデータを元に設定した比較対照群との比較においても有意な改善を示したという。また開始前に中等度以上の線維化を認めた患者の半数以上(58.3%)に線維化ステージの改善が認められたとしている。今後は第三相の臨床試験実施を検討する。