英ケンブリッジ大学の研究チームと3D画像分析ソフト開発のLume VRは、超解像度顕微鏡で得られた生物学的データを仮想現実(VR)で視覚化するソフトウェアを開発したと発表した。高精細なナノスケールの生物学的データを得られるとしてノーベル賞を受賞した「超解像度顕微鏡」のデータを高度に応用することで、さらなる研究進展に貢献するねらいがある。
超高精細データをVRヘッドセットで視覚的に「体感」、共同作業も容易に
両者が開発したのは「vLUME」と呼ばれ、2014年にノーベル化学賞を受賞した超解像度顕微鏡のデータを立体的に展開できるソフトウェアだ。同顕微鏡は光の回折限界を超える分解能を持ち、細胞レベルを越えナノスケールのデータを得られるが、これまでそのイメージング手法は二次元にとどまっており、研究者がそのすべてを正しく把握できる環境がなかった。
vLUMEは同顕微鏡が取得する数百万のデータポイントを含むデータセットを解析・クラスタリングするアルゴリズムを持っており、パターンを見つけることができるという。研究者はVRヘッドセットでイメージングされた立体映像を拡大・縮小・移動など自由に操作できる。実際に研究チームでは、研究員自身のデータで抗原細胞が体内で免疫反応を引き起こす方法の研究などを行なっている。また画像や調査結果などは簡単に共有可能で、同時にデータを閲覧することで研究がスピードアップする可能性も高まる。
この新たなソフトウェアの概要とその効果に関しては、論文としてNature Methodのオンライン版に2020年10月12日に公開されている。
外部リンク(論文):vLUME: 3D virtual reality for single-molecule localization microscopy (Nature Method)