沖縄・与那国島唯一の診療所が全島民1700人対象にオンライン診療の実証事業 沖縄セルラーとメドレーが協力
沖縄県与那国町と島唯一の医療機関である与那国町診療所は、全島民約1,700人を対象としたオンライン診療の実証実験を開始すると発表した。沖縄セルラーとメドレーがハードウェアおよびソフトウェアのサポートで協力する。離島の住民全員を対象とした実証実験は国内初とみられる。
診療所の医師1人で1700人を診療、コロナ禍での対応も課題
島唯一の医療機関である与那国町診療所では、医師1人が全島民約1,700人(月間患者数 約700人)の診療を行っており、平時から医療資源が逼迫している。この状況で医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合、島民に必要な医療を提供できなくなるとともに、患者にとっても、コロナ禍における医療機関への移動や待合室での待ち時間は感染リスクを上げてしまう。2020年12月11日現在で島内における感染者は累計8名となっているが、今後さらに感染者が増えれば治療継続が困難になる状況も現実的となる。
この状況を解決するため、与那国町と与那国町診療所は、沖縄セルラー、メドレーの協力を得てオンライン診療の実証実験を行うことを決めた。沖縄セルラーは、島民がオンライン診療を受けるための活用支援や緊急時に使用できるタブレット端末の手配、メドレーは自社オンライン診療システム「CLINICS」を提供し各種サポートを行う。実証事業期間は2020年12月16日から翌年2月28日までで、町では、有用性が確認されれば他の離島診療所へ成果を共有するという。
町長と相談し実証事業の開始を決めた与那国町診療所の崎原永作所長は「与那国島でも新型コロナウイルス感染者が出ており、基礎疾患を持っている方やご高齢の方の受診控えが続出している。しかし受診控えによる重症化は避けなければならず、また万が一、診療所のスタッフが感染すれば全ての医療サービスが提供できなくなる。患者さんの通院負担を軽減しながら、非接触のため医療者のリスクも軽減できるオンライン診療の有用性を活かして、新型コロナの感染拡大防止につなげることもできるのではないかと考えている。今回の実証事業では、まずは発熱患者さんを対象にオンライン診療を活用する。オンライン診療の有用性が示されれば、24時間・365日離島で頑張っている20の離島診療所のメンバー達へ成果を共有したい」と実証実験の意義について語っている。