日本エンブレース、10億円を資金調達 KDDIと資本業務提携
2018年3月7日、医療介護専用SNS「メディカルケア ステーション」を提供する日本エンブレースは、KDDI、産業革新機構、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施したと発表した。KDDIとは資本業務提携を締結し、MCSを活用したソーシャル医療プラットフォーム事業を本格展開する。
5つのテーマでエコシステム構築を目指す
日本エンブレースは、2013年から医療介護関係者専用の非公開型SNS「メディカルケアステーション(MCS)」を運営している。基本機能は無料で、タイムライン形式による情報共有機能 (テキスト・画像情報など)により、在宅医療や介護の現場における多職種間連携ツールとして普及してきた。これまで全国3万以上の医療介護関連施設、6万人を超える医療介護関係者ユーザーに利用され、200以上の医師会で正式に採用されている。加えて、MCSを用いた治療支援アプリやヘルスケアサービスを医療業界 向けに提供しており、製薬会社による「服薬適正化支援アプリ」や、医療関連メーカーによる「褥瘡ケア支援アプリ」など、すでに10件以上の実績があるという。
今回の調達資金で、今後はMCSを本格的な「ソーシャル医療プラットフォーム」として位置づけ、今回の調達資金をもとに治療支援、ケア支援、健康増進、重症化予防など医療介護における様々な課題を解決するソリューションの開発と提供を加速する。具体的には、(1)地域包括ケア、
(2)遠隔診療、(3)医療エビデンス、(4)医療AI、(5)医療IoTのテーマで他企業との協業を含めたエコシステム構築を目指す。
KDDIと資本業務提携
また今回を機にKDDIとは資本業務提携を行った。両者はともにMCS利用ユーザーと活用シーンの拡大、MCSをベースに展開する医療介護ITプラットフォームの創出・連携について協業する。今回の提携について、KDDIバリュー事業本部担当部長の岩崎昭夫氏は「健康増進・病気の予防・治療を目的とする新たなサービスの開発や提供には、継続的な個人の健康データ (Personal Healthcare Record) の収集・利用が必要と考えており、それには、日々の生活のなかから生み出されるバイタルデータやアクションデータも重要な要素となる。KDDIは今後、IoTソリューションや5Gネットワークを用いたセンシング技術を活用し、ユーザーの操作負担を軽減したデータ収集のモデルを構築し、将来的な医療費削減、ヘルスケアビジネス市場の拡大に寄与する事業の創出に努める」と述べている。