診療現場での医師と患者の意識差が明らかに 京大とNTTコム・オンラインの共同調査
2018年3月14日、京都大学大学院吉田純、柴田悠研究室とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションは、共同で実施した『医師と患者のコミュニケーション』に関する調査の結果を公表した。調査では患者の健康や医療の関わりに対する意識が高い一方で、実際の知識が足りないと感じていることや、医師の情報提供に関して、医師が伝えていると思うほどには、患者が提供を受けていると感じてないことなど、医師と患者の間の実感の差が明らかになっている。
健康や医療への関わりに5~6割が前向き、しかし知識は2割を切る
このオンライン調査は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」の登録モニターで、最近数年以内に病院等へ通院したことがある患者、および医師を対象に実施したもの。回答者数は患者1,094名、医師104名。近年、医療や健康に対する関心の高まりや、患者視点重視の考え方の広がりによって医師と患者間のコミュニケーションの問題が顕在化されているとして、診療における情報提供や満足度、信頼関係について両者が感じる意識の違いを調査した。
調査では、患者自身の健康や治療、知識を深めることに対する意識、診療現場における医師からの情報提供、診察時間などに対する両者の印象などについて聞いている。患者の意識に関しての設問では、健康や医療への関わりに対して5~6割の方が前向きな姿勢を示したが、実際、病気や治療、薬に関する知識は2割を切っていることが分かった。積極的に取り組みたい、そのための知識を持ちたいという意識はあるものの、現実にはあまり持てていないと感じていることがうかがえる。
病気や治療方法の情報提供、医師の認識ほど患者へは伝わっていない
診療現場での医師からの情報提供について、医師と患者双方の認識を調べた設問では差異が顕著に現れた。病気、治療方法、治療法の選択肢の情報提供に関して、医師側は概ね4割〜5割が十分に提供していると感じている一方、患者側はそのように感じておらず、十分に提供を受けた、とする回答が医師の認識に対して10ポイント近く低い。その他、診療時間の設問などに関しても、医師と患者の認識の差がはっきりと現れる結果となっている。
より詳しい調査結果はNTTリサーチのページから閲覧できる。また、単純集計データも無料(メールアドレスなど連絡先の登録が必要)で取得可能。