未来投資会議の裏側を探る③(部会議事録より)

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部会会合第1回提出資料より
部会会合第1回提出資料より。代理機関(仮称)制度設立後の効果について訴求している

 

前回に引き続き、未来投資会議の議事録、資料から議論の詳細を追っていく。今回は下部会合である構造改革徹底推進会合 「医療・介護 − 生活者の暮らしを豊かに」会合の第1回の議事録内容を、補足情報を交えながら解説する。

『PeOPLe』構想と他省庁の取組みとの整合性は?

未来投資会議が掲げる医療介護のイノベーション実現のためのタイムスケジュールでは、まず最初に「オールジャパンでの医療等データの利活用基盤の構築が不可欠」とし、2020年度には本格稼働させるべきとした。ただ資料を見る限り既存の取組みをひとつ指定して「採用」することを想定しているわけではない。部会会合に出席した翁百合会長(日本総研副理事長)、高橋泰副会長(国際医療福祉大学教授)が、各省庁のブリーフィングを聞いたのち、主に確認、質問したのはこの情報基盤の構築の進め方であった。まず翁会長が(内閣府の構想する、個人情報保持の)代理機関とこういった『PeOPLe』の関係はど のようになっているのかがよくわかりにくい」と省庁担当者に質問(議事録22ページ)した。担当者(厚労省審議官、内閣官房健康・医療戦略室次長)のそれぞれの答えは、代理機関構想は短期的、より先に実装される構想であり『PeOPLe』は場合によっては、それも含有するかたちでいずれ具体化する中期的な構想だという旨の回答がなされた

複数の代理機関が存在し、『PeOPLe』はそれを包括していくイメージか

続いて高橋副会長は、「(代理機関について)どういう事業者をイメージしているのか」と確認。回答としては、セキュリティや幾つかの基本的な要件を満たす者であれば、株式会社であれ社団法人であれ認定していくとの立場であることが改めて表明された。この方針については、日本医師会が批判的な見解を表明しているが、内閣府としてはセキュリティ要件を定めた上で、改正個人情報保護法によって大部分が「要配慮個人情報」の範囲内となる現在の「機微情報」の利活用の弾力化を目指しているようだ。いずれにしろ、この質疑応答によって、未来投資会議が宣言した「オールジャパンでの医療情報等の利活用基盤」の一部として、民間企業、団体も参入できる可能性があることが明らかになった。

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