「3分弱の目の動き」解析で認知機能評価の可能性 大阪大学の研究グループ

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大阪大学の研究グループが、視線の動きだけで認知機能を評価できる簡便な手法を開発したと発表した。視線検出技術と認知機能タスク映像を組み合わせ、独自に開発したアルゴリズムによって視点データから認知機能を定量的に算出する。現在の標準的手法との相関率も高いとしており、今後は新たな検査法としての確立を目指す。

「映像を2分50秒眺めるだけ」

この新技術を開発したのは、大阪大学大学院医学系研究科の大山茜医師、武田朱公寄附講座准教授、森下竜一寄附講座教授(臨床遺伝治療学)らの研究グループ。 認知機能評価は、認知症診断の上で非常に重要だが、現在の認知機能検査法は医師との対面方式で行われる問診法であるため検査に時間がかかり、また被検者の心理的負担が大きいことが課題とされている。

検査法の概要

今回、森下竜一教授、武田朱公准教授らの研究グループは、視線検出技術※1と認知機能評価映像※2を組み合わせることで、映像を眺めるだけで、その視線の動きから認知機能を簡便に評価する方法の開発に成功した。80人の被験者(健康な人27人、MCI患者26人、認知症患者27人)を対象に、開発した検査法と従来の問診法(MMSE)の比較検証を行なったという。

従来の問診法(MMSE)による認知機能スコアとの相関

その結果、高い相関性が認められたとした。3分弱の簡単な検査で効果的な認知症スクリーニングが可能になり、認知症の早期診断や予防に繋がる可能性が期待されるとしている。また、目の動きを利用した検査であるため言語の介在をあまり必要とせず、グローバルスタンダードの認知機能検査法としても可能性があるという。

この成果は2019年9月10日付で、米国科学誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載された。

※1 視線検出技術(Eye-tracking)
赤外線カメラ等を用いることで、被検者が画面上のどこを見ているかを高精度に検出・記録する方法。

※2 認知機能評価映像
ワーキングメモリー、判断力、記憶、空間認知機能などの各認知機能を評価するためのタスク映像。各タスク映像は複数の画像などから構成され、その中の正解画像を注視した時間に基づいてスコアが算出される。

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