CureApp、高血圧領域の治療用アプリ で第III相臨床試験を開始
CureAppは、2020年1年31日、高血圧に対する治療用アプリの第III層臨床試験(治験)を開始したと発表した。全国の12医療機関における多施設臨床試験としてすでに実施中で、同社としては順調な結果となり薬事承認となれば、自社の治療用アプリが世界初の承認事例となりうるとしている。
降圧薬非導入の患者群で治療効果証明を目指す
複数の疾患領域において治療用アプリの研究開発を行う医療ベンチャーのCureAppが第3弾として取り組むのは、日本で患者1,000万、世界で10億人を越えるといわれる高血圧だった。この日の記者発表では、CEOの佐竹晃太氏(日本赤十字社医療センター呼吸器内科医師)が臨床試験の概要について自ら説明した。
試験はこの分野でのオーソリティの一人である、自治医科大学の苅尾七臣教授(内科学講座循環器内科学部門)を主任研究者とし、すでに昨年12月から全国12施設で開始されている。対象を降圧薬非導入の患者とし、今回の治療用アプリで生活習慣の改善を目指した患者と、高血圧治療ガイドラインに準拠して同様に生活習慣改善を目指した患者の12週時点での血圧の変化量を比較する。
独自開発の「アルゴリズム」で個別最適化した患者アプローチを実現
同社が試験デザインを降圧薬非導入の患者に限定したのは、開発したアプリの特色が生活習慣指導に特化したものだからだ。同社によると、アプリには高血圧治療ガイドラインや最新の論文、また同社がこれまで展開してきた企業向けの事業等で得た知見などを投入したデータベースが搭載されており、患者個々の状況に合わせ、適切なタイミングで適切なガイダンスが自動でできるアルゴリズムを独自開発したという。なお開発手法として自動でアルゴリズムを作成するいわゆる人工知能(AI)は活用しておらず、社内で手数をかけて開発したとのこと。
主要評価項目の設定は純粋にアプリの「生活習慣改善の能力」を証明するために設定されたが、試験にあたって臨床現場から降圧薬投与群に対する効果を見てみたいという声もあったことから、副次的評価項目として、24週までのフォローアップの中で追跡するという。
会見で佐竹氏は「この分野で第III相までたどり着けているのは当社だけであり、このまま薬事承認までいけば世界初となりうる」と意義を強調した。未定ではあるものの、同様に競合が存在していない米国市場に対しても「子会社を設立しているので、ぜひチャレンジしたい」と見通しを述べている。治験は2020年9月までを予定しており、成果次第で2021年の薬事承認を目指す。