「希望者全員に初診からオンライン診療を」タスクフォースが厚労省の議論を批判
2020年4月3日、内閣府の規制改革推進会議に設置された「新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォース」の第2回会合が行われた。前日開催された厚生労働省の検討会の議論を「まったく不十分」と否定し、希望するすべての人に初診からオンライン診療を可能とするよう改めて求めた。7日に政府が取りまとめる緊急経済対策に盛り込むため、週明けにも意見書をまとめる見通し。
厚労省の議論は「まったく不十分、今のままなら完全に医療崩壊する」
同タスクフォース(以下TF)は政府の新型コロナウイルス対策のうち、オンライン診療とオンライン教育の施策をまとめるため4月に入って急遽設置されたもの。規制改革推進会議全体の議長を務める小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス取締役会長)がTFの議長を務め、4月7日に予定される政府の緊急経済対策に反映させるため、今週内での取りまとめを目指すという、異例の急ピッチで議論が進められた。初会合の2日には厚労省へ提言を出し、医療関係者と患者双方の感染を防ぐため、風邪等の急性症状の患者に対し、初診からのオンライン診療とそれに続くオンライン服薬指導の解禁を求めた。
厚労省は初会合ではTFの提言に課題を示し、同日午後に開催された同省設置の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(以下、検討会)」で識者、専門家より具体的な意見を聞いた。その際、TFが提示した「風邪等の急性症状の患者」を4つに類型。それぞれのリスクを整理した上で、オンライン診療による初診がどこまで可能か諮問した。
検討会では類型されたケース1、2、4については実施体制について議論があったもののほぼ容認された。しかしケース3、まったく受診歴のない患者についてはリスクが大きいとして反対意見が多数を占めた。これを受け厚労省は、認めるとしても地域や時限をより制限しておこなうとの方向で議論をおさめ(既報)、この日のTFに報告した。
会議は非公開だったため詳細は不明だが、会議後、報道陣向けに説明を行なった小林議長、高橋進規制改革推進会議議長代理(日本総研チェアマン・エメリタス)によると、報告を受けTFの議論はほぼ「ケース3」に集中。「かかりつけ医への受診歴の有無で区別するのは不合理。若者は受診歴がない人が多い。かかりつけ医を持たないと医療から排除されるのは国民皆保険の精神に反する」「相談と受診勧奨までならいい、とされれば結局たらい回しになるだけ」「他国でできることがなぜ日本でできないのか」と批判が続出した。
小林議長も、TFの議論が伝わっていない、まったく不十分だと厳しく指弾。東京など都市部での感染者が急増する中、「今のままなら完全に医療は崩壊する。医療崩壊が起こらないようなオンライン診療の仕組みが必要だ」とし「この非常事態において、全ての国民が希望すればオンライン診療、オンライン服薬指導が可能になるよう対応すべき」だと強く訴えた。TFとしては7日に予定される緊急経済対策に盛り込むため、週明けにも意見書をまとめ政府に報告する予定で、同時に厚労省にもその趣旨に沿ったかたちで要件を再検討するよう要請した。