エムスリー、新型コロナ肺炎の診断支援AIで医療機器承認取得 4カ月間の無償支援も受付
医療情報サービス大手のエムスリーは、新型コロナウイルスによる肺炎の画像診断を人工知能(AI)で支援するシステムについて、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。全国の医療機関向けに提供を始めるが、ソニーの基金を活用した無償提供の受付も行う。
中国の7000症例余りで深層学習 日本の800症例で性能試験済
承認を取得したのは中国アリババ集団と連携して開発し、アリババのAIをエムスリーの画像診断システムに組み込んだシステム。確定診断にはそのまま活用できないが、「COVID-19肺炎に見られる画像所見の確信度」や「関心領域のマーキング」を数分以内に行って診断支援する。AIは中国における7,038例の検査画像データ(内COVID-19肺炎の検査画像データ3,067例)をもとに、ディープラーニングを活用して開発されており、今回の医療機器承認にあたって、国内検査画像データ(約800例)を用いた臨床性能試験を行って精度評価した。日本は主要先進国の中で人口当たりのCT設置台数が最も多く、また海外の論文ではCT画像による診断が早期診断確定に効果的だという指摘も出ており、臨床現場に強力な支援となる可能性がある。
同社は、自社が展開するクラウドサーバを経由することで、全国の医療機関のPACS(医療画像管理システム)から利用できるように体制を整え、承認取得を機に全国での提供を開始した。同時に、先に提携したソニーの基金を活用し、4カ月の無償提供プログラムの受付も開始している。