「なるべく通院控えたい」48%、改めて診療控えの傾向が明らかに デロイトトーマツがアンケート調査
デロイト トーマツ グループが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言解除後の国内医療機関の現状、患者の通院やオンライン診療の活用状況に関するWebアンケートを行い、このほど調査結果を発表した。患者側に診療控えの意向が強い一方、その対応策として適応拡大が行われているオンライン診療に関しては、医療の質に関する診療側の期待が高くないことが明らかになった。
患者側:診療控えの意向強くも、オンライン診療実施には必ずしも繋がらず
今回同社が行った調査は、患者(5,000名)と病院・診療所の医師(229名)を対象とし、2020年6月にWeb上で行われたもの。それぞれに別の質問を行い回答を集計している。
まず患者側にCOVID-19による通院に対する意識の変化を聞いたところ、通院頻度に関わらず、概ね約半数の48%が「なるべく通院は控えたい」と回答した。公表されている他の多くの調査と同様に、感染リスクを恐れ診療控えの意向が強いことが改めて示された。
その対応策として、現在オンライン診療の適用要件拡大が行われているが、これに関してオンライン診療や電話再診等の認知度と利用の有無を聞いたところ、オンライン診療の認知率が43.9%と最も高い一方、実施についてはもっとも割合が低いことが分かった。電話再診については、認知率がオンライン診療に対して低いが、実施率は14.4%と上回っている。
実施状況について年代別にさらに詳しく分析したところ、スマートフォンなどのデジタルデバイスを普段の生活で利用する20代、いわゆるデジタルネイティブ世代においても、認知率・実施率ともに少ないという結果が出た。また70代においてその差は顕著になっており、利用上のハードルが存在する可能性が高いとしている。
診療側:患者数減を多くが実感、オンライン診療の「医療の質向上」への期待は低い
診療側の医師229人には、勤務する医療機関での患者数を聞いた。病院・診療所ともに、約80%の医師が外来患者(初診・再診)や入院患者が減少していると回答しており、患者による受診控えが影響していると想定される。
続いてICTを活用した各ソリューションについての期待度を聞いたところ、患者の利便性向上では「オンライン診療」が61%と最も高い結果となったが、医療の質の向上の観点においては16%と低いことが分かった。医療の質の向上においては「電子カルテ」や「ビッグデータやAI活用診断支援」に対する期待の方が高い。また、医師やコメディカルの作業効率向上の観点からは「電子カルテ」「音声入力システム」「Web会議システム」「オンライン予約システム」などにも期待が広がっている。