「オンライン健康相談の定義、整理を」日本医師会が名称変更含め提案
日本医師会は、2020年10月7日の定例会見において、現在「遠隔健康医療相談」と定義されている、医療行為ではないオンラインでの相談について、相談内容や対応する資格者によりサービス名称を分化、変更することや、適応するガイドラインの整備などを提言した。AIによる相談受付も将来的に考えられるとして、その点も考慮したガイドライン作成を検討すべきともしている。
「明確な定義も指針もない」
日本医師会が、コロナ禍の対応策の一つとして推進が期待される「オンライン医療相談(遠隔健康医療相談)」に対し提言を出した。7日、定例会見に出席した中川俊男会長は、これは「第一報」であり今後議論を煮詰めていくべきものと前置きしつつ、医師会としてのスタンスを明確にした。
今回出した提言ではまず現状認識として、この「オンライン医療相談(遠隔健康医療相談)」に対する明確な定義や指針がないと指摘。相談を受ける資格者の業務範囲によりサービス名称を分けるべきだとし、医師ではなく薬剤師が受けるなら「オンラインお薬相談」「オンライン栄養相談」、保健師・助産師が受けるなら「オンライン出産・育児相談」として、現状、相談を受ける者の能力に関わらず幅広く相談を受けられる実態となっていることに異論を提議した。
また、指針がないことについては、まず規制官庁が省庁の枠を越えて指針作りを行うとともに、事業を展開する業界側もガイドラインを策定するべきとした。それらの整備を前提として、国は指針などの遵守を継続的に監視し、遵守していない場合は必要に応じて事業停止などの処分も行えるようにするべきとも提言。また将来的にはAIが相談を受けることも想定されることから、そういったサービスも視野に入れた指針の作成も求められるとしている。
中川会長はこの提言について、これは「第一報」であって今後関係各所と議論していくべきところと発言。医師会がデジタル化に抵抗しているという見方を否定し「デジタル化は時代の趨勢であり、ICT、デジタル化を医療に導入しようという姿勢は(政府と)同じ」と改革に後ろ向きではないことを強調した。