楽天三木谷会長、光免疫療法のライセンスを持つ米医療ベンチャー会長に就任
楽天の三木谷会長は、2017年2月13日に行なわれた楽天グループの決算説明会の会場で、同社が筆頭株主となっている米医療ベンチャー、Aspyrian Therapeutics,Inc.の取締役会長に就任したと語った。同社は米国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員が開発した、副作用がほとんどないとされ、非常に注目されている近赤外線照射によるがん治療法「光免疫療法」のライセンスを持っている。三木谷会長は国内企業との合弁による事業化も視野に入れていると話した。
光免疫療法とは
2011年に米国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員が開発した新しいがん治療法で、可視光と赤外線の間の波長(700nm)の近赤外線に反応する物質(IR700)を付加した抗体を照射し化学変化を起こさせ、がん細胞を破壊させる。この抗体はがん細胞以外に結合することがないうえ、近赤外線以外には反応しない。また、近赤外線はリモコンなどで活用されている安全な光であり、さらにトリガーとなるIR700はフタロシアニンという色素で、米国食品医薬品局(FDA)ががん治療に使用することを認可している安全性の確認された物質であることから、副作用発現の可能性が極めて少ないとされている。2012年1月、当時のオバマ大統領が議会への一般教書演説で偉大な成果として取り上げ、世界中の脚光を浴びた。
2015年4月にFDAより臨床試験の認可が下り、フェーズIIまで順調な結果を得られているという。2-3年後の実用化が視野に入っており、今回はそれに向けた動きの一環と言えそうだ。