内視鏡画像診断支援のAIメディカルサービス、シリーズCラウンドで80億円調達 海外進出に本腰

 内視鏡画像診断支援AIを研究開発するAIメディカルサービスが、SoftBank Vision Fund2をリード投資家とし80億円を資金調達したと発表した。調達資金は海外展開と、開発・展開しているAIのクラウドプラットフォーム化に投入される。

「内視鏡AI」を海外展開、さらにクラウドプラットフォーム化へ

 2017年設立のAIメディカルサービスは、大腸肛門外科の専門医で日本消化器内視鏡学会専門医でもある多田智裕氏が率いる、内視鏡画像診断支援AIの開発・提供に特化したスタートアップ。内視鏡検査中の動画を解析できることが特徴で、2019年にはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」に採択され、胃がん内視鏡検診の2次読影をサポートするシステムとしての開発を続けてきた。また、ほぼ同時期に米FDA(食品医薬品局)から卓越した医療技術として評価され、優先的な審査対象となる「Breakthrough Device」に認定されている(いずれも既報)。

 資金調達ステージとしては、この研究開発開始時にシリーズBとしてグロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL、Sony Innovation Fund by IGV等から約46億円の資金調達を実施したが、今回新たにシリーズCとして既存投資家に加え、SoftBank Vision Fund 2がリード投資家となる総額80億円の資金調達を実施した。海外企業への投資が中心となっている同ファンドにとって、日本企業への投資としては最大規模になるという。

 調達資金は、NEDOでの採択時より目標として掲げられている海外へのサービス展開、その実現要素のひとつでもあるクラウドプラットフォーム化の実現に活用される。今回の資金調達に関して、同社CEOである多田氏は以下のようにコメントしている。

「日本は消化器内視鏡医療機器発祥の地であり、日本、オリンパス・フジフィルム・ペンタックスの日本3社で軟性消化器内視鏡は日本メーカーが世界シェア98%を占めています。日本の消化器内視鏡医師の技術は世界トップクラスで、質の高い内視鏡検査が日本国内で年間1700万件以上行われています。そのため、日本の内視鏡AIは質量ともに世界最高水準の教師データから作られる新たなグローバルイノベーションです。

私どもはがん研有明病院をはじめとする国内の100以上のトップ医療機関と共同研究を行い、世界で初めてピロリ胃炎鑑別AI、胃癌検出AI、食道がん検出AIの研究開発に成功するなど、世界初の論文を数十本発表しており世界の内視鏡AIの研究開発の世界のトップランナーです。日本発のイノベーションである内視鏡AIをソフトバンク様の後押しを受けて世界展開することができれば、全世界の内視鏡医療の発展に貢献できるとともに、早期発見できるがんの数を大幅に増やし世界の多くの患者の命を救うことができると確信しています。今回の大型調達により、活躍するステージを世界レベルに上げることができました。これからも常に進歩と絶え間ない改善を続け世界に羽ばたいてまいります。