AMEDがコミュニケーションロボット調査事業の暫定報告 3割超に改善効果

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日本医療研究開発機構(AMED)は、2017年5月29日-30日の2日間にかけ、設立後2年間の成果を発表する初のシンポジウムを開催した。その中で昨年実施したコミュニケーションロボットの開発・導入基準策定・評価事業について、利用者の3割超に改善効果が見られたと暫定の報告を行なった。

 

98施設、被験者866人の大規模実験 評価指標はICFを採用

シンポジウム2日目に「コミュニケーションロボットの効果」と題して行なわれた成果報告には、長年高齢者のリハビリテーション施策の研究に携わり、廃用症候群を一般に分かりやすい「生活不活発病」と言い替え普及させた大川弥生医師(産業技術総合研究所 知能システム研究部門 招聘研究員)が登壇。4月にもNHK「あさイチ」に出演し事業の紹介を行なっていたが、この日はデータを紹介し、暫定ながらより詳しい報告を行なった。

報告によると、今回の事業には98施設、866人が試験に協力。評価したロボットは昨年公募し採択された、国内で販売されているコミュニケーションロボットとソフトウェアの組み合わせ17種類で、これらのロボットによる介入の結果、全体の34%強にあたる296人の状態が改善した。ロボットによる声がけで、セルフケアや移動、運動などをより活発に行なうようになったという。大川医師は「コミュニケーションを、目的だけでなく自立を促す手段として使うことの効果は大きい」としたうえで、ロボットを活用した介護プログラムの今後の具体化に期待を寄せた。

この調査事業は、発表当初から1,000台規模のロボットを投入して行なう本邦初の実証実験として各方面から注目されていた。また厚労省も未来投資会議などの政府系会議で再三、この事業を含む介護ロボットの推進事業の実証結果を踏まえ、2018年(平成30年度)における介護報酬等の評価を行なうと表明している(既報)。今回有用な結果が得られたことで、ロードマップ通りの介護報酬評価、その先の導入促進への見通しが明確になったと言えそうだ。

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