厚生労働省は28日、健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」の会合を開催した。会合の中で同省は、データヘルス改革のロードマップに従い、今年度末までに電子カルテ情報の全国的な共有基盤の設計についての考えを示した。 「電子カルテ情報交換サービス(仮称)」について検討 [caption id="attachment_9354" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] [caption id="attachment_9355" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] 会合で同省が示したのは、電子カルテ情報を患者同意のもと、全国的に共有可能にする情報基盤「電子カルテ情報交換サービス(仮称)」についてで、大枠としてはいわゆる「3文書」「6情報」※をHL7 FHIR規格で情報基盤に登録し、オンライン資格確認システムで医療者・患者双方の本人認証をしたうえで共有するもの。患者に対してはマイナンバーカードによる資格確認を行うので、マイナポータル経由での共有となる。 ※資料にある通り以下の情報 「3文書」=診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書 「6情報」=傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌、検査、処方の情報 [caption id="attachment_9353" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] [caption id="attachment_9352" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] この情報基盤にどのように情報を保管するかについては、機微情報を取り扱うことに対するセキュリティ面、膨大な情報となることからサーバの稼働量を踏まえた負担面を考え、事前に適宜情報を蓄積しておく「PUSH型」、資格確認の機会をトリガーに情報をその時に取得する「PULL型」の考え方を示した。またすべての情報がどちらかの方式、ということではなく、目的に応じて方式を使い分けられるよう検討する方針を示した。 この方針に対して、構成員からは「すべてをPUSH型とすることは非現実的で、民間サービスも含め全体で考える必要がある」といった意見、またこの場合、患者同意のないまま情報が蓄積されることになるので個人情報保護法の観点から整理の必要があるという指摘があった。また薬剤情報については、電子処方箋の情報を活用すべきという意見が複数上がっていた。 年度末までに議論する論点を提示 [caption id="attachment_9351" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] [caption id="attachment_9350" align="aligncenter" width="1100"] 厚生労働省資料より[/caption] この日はまた、年度末までに同ワーキンググループで議論する論点も提示された。来年3月までに2回の議論の機会が設定されており、この2回で12の議題について詰めの議論が行われる予定だ。 資料リンク:第5回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ資料について(厚生労働省)